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ぶどう膜炎外来

ぶどう膜炎外来

当院ではぶどう膜炎の専門外来を行っています。
ぶどう膜炎は、約半数が原因不明で、失明に至る症例も多く、社会的に問題となっている病気です。
ぶどう膜炎は、眼以外の症状を伴うことが多いため、眼科検査の他、全身の精密検査の上、統合的に診断されます。但し、特徴的な眼科所見や全身検査結果がみられず、診断に至らないことや、鑑別のための追加検査が必要となることもしばしばあります。最初は原因疾患がわからないぶどう膜炎であっても、経過とともにぶどう膜炎との診断が下されることもあり、非常に診断が難しい疾患の一つです。
これまでぶどう膜炎の専門治療を行ってきた院長が、ベーチェット病、サルコイドーシス、Vogt-小柳-原田病、桐沢型ぶどう膜炎などに対し、迅速かつ正確な診断を行い、治療を提供してまいります。また、ステロイド治療に反応が不良な硝子体混濁を生じた場合は、診断的治療目的にて硝子体手術を行ってまいります。

ぶどう膜炎とは?

虹彩・毛様体・脈絡膜を総称して「ぶどう膜」と言います。ぶどう膜炎とは、このぶどう膜の一部あるいは全てが炎症を起こす病気です。
ぶどう膜炎が生じると、よく現れる症状は、霧視(かすみがかかったように見えること)や羞明感(まぶしく感じること)、飛蚊症(虫が飛んでいるように見えること)です。そのほか、視力低下、眼痛、充血などの症状もみられます。片眼だけのことも両眼のこともあり、両眼交互に症状が現れることもあります。症状の経過は、だんだん悪くなる場合もあれば、一時的に良くなったと思えばまた悪くなるといった再発・寛解を繰り返すタイプもあり、さまざまです。

ぶどう膜炎の原因

ぶどう膜炎の原因は、細菌、真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫などによる感染症が約15%、全身の免疫異常による疾患(サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病など)が約30%、その他に外傷や悪性腫瘍も少数ながらありますが、約半数は原因が特定できない、いわゆる「同定不能のぶどう膜炎」です。我が国のぶどう膜炎の原因の上位3つはサルコイドーシス、原田病、ベーチェット病で、これらは「日本における三大ぶどう膜炎」と呼ばれています。

ぶどう膜炎の検査

一般的な眼科検査、蛍光眼底造影や網膜断面構造解析(光干渉断層撮影:OCT)などの眼科特殊検査に加えて、血液検査・胸部X線検査などの全身検査、ツベルクリン反応検査などが行われます。また、目の組織採取が必要であったり、診断的治療目的の手術が行われたりすることもあります。サルコイドーシスや原田病、ベーチェット病のような全身の免疫異常が原因の場合は、目以外の体にも症状が現れるため、詳細な問診が大切になります。

ぶどう膜炎の治療

薬による内科的治療が基本となります。
原因が細菌などの病原微生物による場合は、その病原微生物に有効な薬が使用されますが、多くのぶどう膜炎では、原因疾患がわかっても根治療法は困難なため、治療の目的は炎症を抑えて視力障害につながる合併症を予防することです。ぶどう膜炎の種類や重症度によって治療法や治療の期間は異なりますが、局所療法としては、炎症を抑えるための副腎皮質ステロイド点眼薬と炎症により茶目(虹彩)が黒目(水晶体)に癒着し、瞳が不整円となる虹彩後癒着を予防する散瞳薬点眼が処方されます。目の炎症が強いときは目の周りの組織に注射をする場合もあります。目の局所治療だけでは良くならなかったり、目の奥に炎症が強かったりするような場合は、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の全身投与が行われます。
ぶどう膜炎をきたした目の病状経過は病気によってある程度わかりますが、視力予後に関しては同じ病気であってもさまざまです。一方、同定不能のぶどう膜炎ではその病状経過は不明であり、視力予後も経過をみていかなければなりません。
ぶどう膜炎は目の中の炎症であることから、すぐに治る目の病気ではありません。感染が原因ですと、一日でも早く治療を開始しなければ失明する病気もあります。不適当な点眼や通院の自己中断はぶどう膜炎の活動性を高め、予後を悪化させますので、早期診断と治療が大切になります。

三大ぶどう膜炎

ベーチェット病

ベーチェット病は口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患です。トルコのイスタンブール大学皮膚科のベーチェット教授が初めて報告したため、この名がつけられました。症状のうち、最も重要なのが眼症状です。ほとんど両眼が侵されます。前眼部病変として虹彩毛様体炎が起こり、眼痛、充血、羞明、瞳孔不整がみられます。網膜絡膜炎を起こすと発作的に視力が低下し、障害が蓄積されて、ついには失明に至ることもあります。

サルコイドーシス

サルコイドーシスは、全身のいろいろな臓器(頻度が高いのは両側肺門リンパ節、肺、眼、皮膚、唾液腺、心臓、神経、筋肉など)に、結核によく似た病巣を作ります。一般にそのような病巣は「非乾酪性類上皮細胞肉芽腫」と呼ばれています。罹患部位から採取された組織標本に「非乾酪性類上皮細胞肉芽腫」が存在すれば確実となりますが、しかし現在までその原因は明確にされていません。サルコイドーシスの本体は、感染症ではなく、個体のもつ異常な免疫反応と推定されます。認められる症状は罹患する臓器によりますが、眼の症状としては、霧視、羞明、飛蚊症などです。

原田病

日本では、ベーチェット病、サルコイドーシスとともに、頻度の高いぶどう膜炎の一つです。日本人を含め、アジア系の人種に多くみられます。色素細胞に対して免疫反応が起こることが原因と考えられ、眼だけでなく、色素細胞がある脳、皮膚、毛髪、内耳などの組織も侵されるため、ぶどう膜・髄膜炎症候群とも呼ばれます。眼の症状としては、まぶしい、眼の奥のほうが痛い、物が見えにくいなどが、通常は両眼に現れます。

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